マテリアル インテグレーション 2001年1月号
特集 21世紀に飛躍する材料(2)


“−ナノ材料への期待−”


 米国の世界戦略とも関連して,2000 年初頭から,21 世紀の科学技術を支えるナノテクノロジーの基盤となる材料として,日本においてもナノ構造制御,ナノ材料/ナノコンポジット材料に関する注目が一段と高まり,金属材料分野,高分子材料分野,ガラス材料分野,粉末材料分野,コーティング分野等で国家プロジェクトが計画されています.この様な状況を踏まえ,2000 年4 月号に引き続き,2001 年1 月号で企画した特集号Intermaterial 「21 世紀に飛躍する材料(2 )」では,セラミックス材料を中心としたナノ材料/ナノコンポジット材料をテーマとすることにし,この分野で活躍されている研究者にその成果の一部を紹介して頂くことにしました.
 先ず最初に,ナノ材料/ナノコンポジット材料研究の今後の加速度的な進展に強力な助けとなることが期待されている“ナノ材料の計算機シミュレーション”とセラミックス材料の特性に強い影響を与え,特にナノ材料やナノコンポジット材料の材料設計指針をたてるに際しては避けて通れない,“セラミックス材料の粒界・界面のナノ構造とその制御”を取り上げました.
 次に,セラミックス系のナノ材料の中で,今後のIT 産業の発展に強い影響を与えると考えられている“薄膜状の強磁性材料”と“バルク状強力磁石”の分野から1 件ずつ取り上げ,更に,ナノ材料化及びナノコンポジット化により始めて可能になると考えられる,“構造材料の多機能化と新機能の付与”に関する最近の成果を2 分野で紹介して頂くと共に,既に多くの実績がある“ナノコンポジット化による力学的特性の飛躍的特性改善”に関する分野でも,3 種類の複合系で最近の成果を紹介して頂くことにしました.
 インターマテリアルの中心的材料であるナノ材料/ナノコンポジット材料分野の最近の革新的な進展は,ここに紹介する成果にとどまらない事は言うまでもありません.それらの成果は,今後機会を見ながら紹介する企画を立てる予定ですが,その一部は,2000 年11 月号でも紹介してありますので,この特集号と共に参考にして頂ければ幸いです. 多忙の折りにも係わらず,短時間で原稿を作成いただいた著者の方々に,この場を借りて深く感謝いたします.